日本で働く外国人は年々増加しており、製造業や介護、建設業、ビルクリーニングなど幅広い分野で活躍しています。
しかし、「日本で働くとどのくらい給料がもらえるのか?周りの人はどれぐらい稼いでいるのか?」という点は、多くの外国人労働者や採用を検討する企業にとって大きな関心事です。
実際、外国人の給与は在留資格によって大きく異なります。例えば、専門的な知識や経験を必要とする「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」は比較的高い給与水準である一方、「技能実習」は研修的な側面が強いため給与が低めに設定される傾向があります。
当記事では、日本で働く外国人の平均給料を資格別に分かりやすく解説するとともに、手取り額や昇給の可能性についても紹介します。日本での就労を検討している方や、収入を上げたい方、外国人雇用を考える企業担当者の方はぜひ参考にしてください。
日本で働く外国人の平均給料・給与
日本で働く外国人の給料は、どんな仕事を選ぶか、どんなビザを持っているかによって大きく変わります。
例えば、専門的な知識やスキルを必要とする仕事では高い給料をもらいやすいですが、経験を積みながら学ぶ仕事では、最初の給料が低めになることもあります。
また、働く地域や会社の規模によっても条件が変わるため、同じ資格を持っていても給与に差が出ることがあります。
大切なのは、給料の金額だけを見ないことです。残業代や手当、ボーナスがあるかどうか、また昇給のチャンスがあるか、福利厚生はどうかなど、生活に直結するポイントをしっかり確認する必要があります。
日本で安定して働きたいなら、「どんな職種が自分に合っていて、どんな条件で働けるのか」を理解しておくことが重要です。次に在留資格別の平均給料を紹介していきます。
在留資格別|外国人の平均給料
厚生労働省が発表している在留資格別の令和6年度の平均給料は以下となります。
在留資格 | 給料 / 月
専門的・技術的分 | 28万9,100円
上記のうち特定技能 | 25万300円
技能実習 | 21万円
身分に基づくもの | 30万5,200円
では在留資格それぞれでどのような特徴があるのでしょうか?
専門的・技術的分の平均給料
専門的・技術的分野で働く外国人の給料は、比較的安定しており、他の在留資格に比べて高めに設定されることが多いです。
この分野には、ITエンジニアや設計、通訳、貿易関連など、知識やスキルを必要とする仕事が含まれます。そのため、学歴や経験を活かして働けるのが特徴です。
給与の金額は会社や業界によって差がありますが、専門性が高いほど評価されやすく、昇給やキャリアアップのチャンスも期待できます。その結果、平均給料が28万9,100円と在留資格の中でも高くなっています。
また、福利厚生や研修制度が整っている企業も多く、安定した生活を送りやすいのも魅力です。日本で長期的に働きたい方やスキルを伸ばしたい方にとって、専門的・技術的分野はおすすめの就労スタイルと言えるでしょう。
特定技能の平均給料
特定技能で働く外国人の給料は、同じ職場で働く日本人と同じ水準で支払われるのが特徴です。そのため、技能実習に比べると高めの給料を期待でき、安定した収入で生活できるケースが多いです。
特に、介護、外食、製造、建設、ビルクリーニングなど、人手不足が深刻な分野では、労働環境が整っている企業も増えています。
また、残業や夜勤がある職場では、さらに収入が増える可能性があります。
実際、令和5年度と比較すると令和6年度の平均給料が25万300円となっており、大幅に上昇しています。
特定技能は5年まで働ける資格ですが、経験や日本語能力を高めることで、より上位の在留資格に移行し、さらに高い給料を得る道もあります。安定した生活とキャリアアップを目指すなら、有利な選択肢といえるでしょう。
技能実習の平均給料
技能実習で働く外国人の給料は、基本的に日本の最低賃金に基づいて支払われます。そのため、最初は高い給料を期待するのは難しいかもしれません。実際、他の在留資格と比較すると、平均給料は21万円と低くなっています。
しかし、技能実習は「学びながら働く」ことを目的としており、日本の技術や知識を身につけられる点が大きなメリットです。実習先によっては残業代や手当が支給される場合もあり、努力次第で収入を増やすことも可能です。
また、真面目に経験を積むことで、将来的に特定技能などの在留資格へ移行し、より高い給料を得られるチャンスも広がります。収入面だけでなく、自分のキャリアや日本での生活の基盤づくりと考えることが大切です。
身分に基づくものの平均給料
「身分に基づくもの」とは、日本人の配偶者や永住者、その子どもなどに与えられる在留資格を指します。この資格を持つ外国人は、働ける仕事の種類に制限がなく、日本人と同じように自由に職業を選ぶことができます。
そのため、給与水準も日本人とほぼ同じで、業界や職種、経験、スキルによって大きく変わります。
実際、在留資格の中で最も平均給料が高くなっています。
例えば、正社員として働けば安定した収入や昇給のチャンスが期待でき、アルバイトやパートを選べば自分のライフスタイルに合わせた働き方も可能です。
重要なのは、資格そのものではなく、自分がどんな仕事を選び、どのようにキャリアを積んでいくかという点です。安定して長く日本で働きたい人にとって、「身分に基づくもの」は大きな強みとなります。
日本で働く外国人の数は?
日本で働く外国人の数は年々増加しており、日本の労働市場において欠かせない存在となっています。少子高齢化の影響で人手不足が深刻化する中、製造業や介護、建設、農業、ビルクリーニングなど幅広い分野で外国人労働者が活躍しています。
特に、技能実習や特定技能といった在留資格を通じて入国する人が増えており、現場の人手不足解消に大きな役割を果たしています。
一方で、専門的・技術的分野や「身分に基づくもの」の資格で働く外国人も多く、正社員として長期的にキャリアを築くケースも少なくありません。政府の統計でも外国人労働者数は右肩上がりを続けており、今後も増加傾向が予想されます。
日本経済新聞でも日本で働く外国人労働者が230万人となっており、伸び幅はこれまでで最も大きいということでニュースにもなっています。
日本で働く外国人の存在は、企業にとっての人材確保だけでなく、日本社会の持続的な発展を支える大きな力となっているのです。
まとめ|日本で働く外国人に伝えたいこと
日本で働く外国人のみなさんにまず伝えたいのは、日本での仕事は単に収入を得る場ではなく、学びや成長の機会でもあるということです。
日本の企業は勤勉さやチームワークを大切にする文化が根付いており、働く中で日本語力や専門スキルを自然と伸ばすことができます。
また、どの在留資格で働くかによって選べる仕事やキャリアの広がり方も異なるため、自分の資格や立場を理解し、将来の目標に合わせた働き方を選ぶことが重要です。さらに、日本で安心して生活を送るためには、給料や労働条件だけでなく、社会保険や福利厚生についてもしっかり確認する必要があります。
日本社会は多様な人材を必要としており、外国人の存在は大きな力になっています。だからこそ、自分の強みを活かし、働きながら夢を実現していってください。